Strange Days

壱岐ツーリング2日目

2015年10月17日(土曜日) 23時40分 , 自転車 ( 自転車旅行記 ) 天気:晴れ

 今日明日と、まるまる壱岐で過ごせる。今日は島の東に向かって行きたい。


 泊まったホテルは、アイランド壱岐という大きなものだが、なぜか『借り物』感が拭えていない。なんとなくだが、元は別の宿で、買収したもののように思われる。サービスそのものは、ごく普通だった。
 さて、朝食後に宿を後にする。今日は島の東方に向かう。近所のコンビニに寄っておいた。
 市街地からそれほど登ってない場所に、お宝地蔵こと、小左衛門地蔵がある。このお地蔵さんは、江戸初期の黒田藩お抱え海商、というか海賊だった人で、壱岐に財宝を埋めた伝説の持ち主だ。
 その向かいから、車道を避けて裏道を行けそうだったので、粛々と登ってゆく。入り口に造り酒屋らしい店を目撃。壱岐には酒造元が数軒あるのだ。
 概ね、国道382号を通り、東進する。この国道は、対馬から壱岐を経由し、唐津に至る、長大なものだ。実際の距離は措いてだが。壱岐は比較的平たい島だが、それでも平地は丘に隔てられ、小盆地の連続といった眺めだ。
 東に向かい始めて程無く、玄海酒造に着く。比較的、島外にも知られた酒造元だと思う。見学コースがあるので、入らせてもらった。酒蔵を見て行ける。ここは古酒の貯蔵所だったか。
 試飲もできるのだが、自転車旅の我々は、血涙をダダ漏れさせつつ通り過ぎるしか無い。
 突き当りは資料館になっており、古い酒造用品や年表の類がある。
 先に進もう。今日の心配事は、昼食どうしよう、という点だった。探せば食事場所はありそうだが、立ち寄った印通寺港でマリンパル壱岐という小綺麗な市場で、地元の美味しそうな惣菜が並んでいるのを見て、気が変わった。ここで買って、適当な場所で食べないかと提案すると、了承されたのでそう決する。牛めしと、ちょっと汁が多そうだったが惣菜とを買っておいた。
 いい天気だ。旅はこうあらねば。
 印通寺港から東進すると、壱岐空港がある。利尻空港のような廃港ではなく、日に一往復程度が飛んでいるようだ。簡潔な空港。
 小さな丘の間を縫うように走り、やがて今日の主目的の一つ、原の辻に到着。いわゆる魏志倭人伝に登場する一支国の王都があったと考えられている、弥生後期の集落跡だ。復元地区にのこのこ入り、適当な場所でお弁当を広げた。日差しが強く、うっかりすると焼けそうだ。
 食後は公園をうろつく。敷地は広く、丘の上に復元家屋が集まっている。ベンチの類が一つもなく、ここは本当に復元セシメル家屋ヲ以テ学習ノ用ニ立ルという塩梅の場所のようだ。
 車道沿いにある学習センタにも寄っていった。ここには、一応は休憩所もある。
 次は、丘の上に遠望できる、市立一支博物館に向かう。結構な上りだ。途中見かけたカーブミラーで、謎のおっさんを撮る。
 博物館では十分な時間を取れなかったが、内容は充実しているのでざっと見てゆくだけでも楽しい。ジオラマがむやみに楽しいな。
 丘の上だけに、建物の屋上からの眺めは、実に素晴らしい。
 十分な時間を取れなかったというのは、別に急いで出たいからじゃなくて、バックヤードツアーに参加するためだった。たまたま、バックヤードツアーをやっていたので、参加申し込みしておいたのだった。博物館は、長崎県の*1埋蔵物を集積、分析する研究拠点でもあり、遺物を処理する機器が揃っている。ここは水中から発見された木製品に防腐処理を施しているところ。このボックスで、小さな金属製遺物などの清掃を行う。最新の実体顕微鏡や、遺物の外形を復元したり、補修品を作るための3Dプリンターも導入されているようだった。X線透視機*2もあった。
 それでも、古くから拓けていた長崎の発掘品は膨大であり、中くらいの倉庫に天井まで届くようなラックが立ち並ぶストレージが、時々刻々と埋まってゆくのだとか。
 思いがけず、面白いものを見たなと思いつつ、一支国博物館を後にする。
 芦辺港に回ってから帰るつもりなのだが、もう昼を大きく過ぎたのに、まだずっと南にいる。青島という、内海湾に浮かぶ島に立ち寄るのが、精一杯になりそうだ。
 壱岐には、真に神社が多い。ちょっと山に分け入れば、必ず祠があるというくらいだ。内海には小島が幾つもあるのだが、その一つの、その名も小島にあるのが小島神社。島そのものがご神体なのだろう。きっと、漁師たちの信仰対象であったのだろう。とても良い風景。
 青島という島にも渡った。この橋が、船を通すのか結構な上りだった。島には小公園があった。
 長者原埼、左京鼻という二つのピークを持つ半島の渡り口くらいに、はらほげ地蔵という奇妙な名前のお地蔵さんが居られる。名前の由来は、ちょうど腹の所にえぐりとってような穴があり、お供えものが入るようになっているからだ。謂れの判らない仏で、満潮時には半身水没する。これも漁師たちの信仰ゆえだったのかもしれない。
 陽が大分傾いてきた。芦辺港に立ち寄るのは、やはり無理だ。半島の先端をぐるっと回って帰ろうぜと、各々走りだした。僕を始め、数人は、長者原埼に降りてみた。化石層があるということだが、よく分からない。屏風岩という場所は、あの辺だなと見当ついたのだが。
 ぐるっと回って、左京鼻。荒涼とした眺めの断崖が続き、玄界灘が目の前に広がる。
 郷ノ浦へと、できるだけ最短距離を取って帰還。夕陽に間に合った。船窓越しに、いい眺めじゃないか。

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