屋久島の残り半周を走り切る。しかしまあ、覚悟していたとはいえ、雨だ。


　夜半から結構な雨量で降り出して、朝になっても止まない。少し弱まってはいるのだが、風もあって、なかなか走り出す気になれない。やっと雨脚が切れそうだなと思えた頃に、おっとり走り出した。雨雲は去らず、頭上に重い雲がのしかかっている。道路はもちろんウェットだ。
　少し走った辺りから、再び雨脚が強まり始める。おのれ天帝。これは危険と判断し、通りがかったぽん・たん館という物産館に逃げ込んだ。屋久島の物産というときのこが多そうだが、名前のとおりに柑橘類も多く扱っていた。クッキーやパンを買って、雨が弱まるのを待った。かからん団子という、原始のよもぎ餅と呼びたいものも食す。
　雨脚が少し弱まった気がしたので、この隙に走る。昼食場所と雨宿り場所の問題になってきたな。
　少し走った安房港にうどん屋を見つけたので、そこに立ち寄る。まだ開店してないのかなという風だったので、近所の盛久神社で夫婦アコウを見てきた。立派な木だが、屋久島はやはり屋久杉を見たいな。
　開店時間はいつかなと思いつつ、うどん屋に再度見に行くと、ちょうど店の人が居て、本日休店だと知る。がーんだな。
　もう1件うどん屋があるので、そこにも行ってみた。屋久どんという店はやっていて、しかもかなり繁盛していた。ちょうど正午に入った時には座れたが、食後に店を後にする時には待ち行列が出来ていた。
　頼んだのは、天ぷらうどん。天ぷらは美味しかったけど、ノーマルうどんにも飛び魚の焼き魚とじゃこ天が入っていたので、別に要らなかったなと思った。アゴ出汁が効いた西国風の美味しさだった。
　店を出ると、雨は止んでいた。予報では午後は雨から免れそうだ。ともかく、宮之浦まで走りきってしまおう。
　などと思いつつも、安房の港を少しうろつく。立地的に風除けの港だったのかと思うが、歴史がありそうだ。方々に小社があり、雨に濡れていい雰囲気だ。俺も濡れてるんだけどな。
　宮之浦に大分近づいた辺りに、屋久島空港がある。こぢんまりした空港だが、立ち寄っている間に意外に発着が多く、ここからインする人も多そうだ。割と滞留していたのは、また雨が降り出したからで、小止みになるまで1時間ほども居た。
　雨雲が去るのを見定めてから、宮之浦まで走りきった。川を渡るとき、5月らしい眺めが。
　観光センターのコインロッカーから荷物を取り返し、雨がやまないので少しうだうだしていたが、仕方ないので宿に入った。明日も雨っぽいので、もう自転車は使わないことにしよう。
　宿にはコインランドリーがあり、使うことにしたが、別棟にあって往復時に濡れる。屋久島の人は、さぞかし雨に苦労しているんだろうな。