いよいよ走り出す。海沿いの平坦路を、しかも追い風を受ける快走日だった。
北海道の春は、流石に夜の外気温は低いが、
ホテルは快適だった。
宿を後にし、留萌駅西方から、オロロンラインに乗る。道はよく整備されており、路肩も広く取ってあるので、走りやすい。まずは、留萌にもある
セブンイレブンで、補給。非常食と、水は積んでゆこう。
しばし、地方都市の殺伐とした近郊、といった風景の中を走る。北海道といえば、海を含んだ水の清らさを期待するものだが、この時期の海はめっぽう濁っている。なんでだろうと思ったら、
川がこの有り様だからだ。雪解け水が運んできた土砂が、すごい勢いで海に流れ込んでいる。
ようやく、スッキリした海沿いの道を走り始める。遠くから近づいてきたのが、
風車。留萌~稚内間では、到るところで風車を見かけた。
まだ遠別までの間には、幾つもの集落が点在しており、補給や休憩の心配は、それほど必要なかった。昼前には最初の休憩地、おびら鰊番屋に到着。ここは歴史的建造物の
番屋と、それに付随する道の駅的施設が並んでいる。まずは道の駅的な方に入り、鰊そばを頼んだ。ハエが多いのには閉口するが、時期的なものらしい。
番屋の方にも入ってみた。
中は恐ろしく広い。小樽で見た番屋の、ざっと4倍位の面積はありそうだ。200人もの漁師が寝泊まりしたとか。
ポケロケはリアが重そう。しかし、今日は上りがないはずなので、大丈夫だろう。
番屋を後にし、海沿いの道を北上してゆく。オロロンラインを走ってゆくと、廃線跡が見え隠れしながら並走している。これは羽幌線の跡だ。
トンネルや鉄橋も、あちこちに残されているそうだ。
また
別の風車が見えてきた。写真を撮りながら、ふと海に目をやると、なんじゃこれは。
海が緑色に染まっている。たぶんだが、海中の昆布が放った胞子が、風と波で打ち寄せられて固まったものじゃないか。昆布の胞子はずいぶん小さいはずなので、どんだけの量なんだ。
苫前に近づいた辺りから、道がやや内陸に入ってしまう。海岸沿いと違い、結構な高低差が発生し始める。要するに、上り下りがあるということだ。本土の、旧来から集落の多かった場所では、人馬の往来のために自然に上り下りしやすい道が生まれ、それが舗装されて車道になるので、概ねウネウネとした、それなりに登りやすい道になる。しかし、北海道では、人跡の定かでない荒野に、計画者が定規で以って一気にビャーッとばかりに一直線に引いたような道ばかりなので、上り下りがいささか非人道的なレベルだ。
それでも、トイレ休憩でふと止まったバス停で、
遠い雪山、風車、原野という眺めを目にできるのだから、悪くはない。登りは全く楽にならないけどな。
苫前に到着。かなりまとまった集落だ。しかし、高台にあるので、上りが……。
この苫前役場の前に居た
此奴。クマ系といえばくまモンだし、北海道にも夕張メロン熊というヤバイ奴がいるのだが、こ、こいつのヤバさはそんなもんじゃねえ。この目は、明らかにイカン奴だ。
ここから泊地の羽幌までは、北海道道路建設局計画部の定規が冴えるような、
もはや人道に悖るレベルの線形道路のオンパレードだった。せめて雲形定規使ってくだちい。
最後の方にアップダウンが多発するという状況に疲労しつつも、なんとか羽幌に到着。
羽幌ペンギンが出迎えてくれた。
今日の宿は、羽幌のメインストリートに面した旅館。主に天売方面に渡る客のためのようで、釣り客主体のようだ。意外にも、無線LANを使えてウハウハ。
夕食は、旅館らしいタイプ。酒も飲みたかったので、近所をうろついたが、結局これという店もなく、セイコーマートでビールを買ってきただけだった。
夕方まではかなり晴れていたのだが、夜になって雲が広がり始める。明日も大丈夫、だよね。