Strange Days

遠すぎた山、富士(1日目)

2004年08月21日(土曜日) 19時47分 山歩き 天気:晴れているのは間違いない

 朝、7:30に起床。いよいよ富士登山の日だ。朝食を取りながら、荷物の確認をする。懸案のストックは、ミキ氏に助言をいただき、分解することで収まりよくなった。水はハイドレーションパックに収めた。
 さて、御殿場に10:30ということなので、JRを乗り継いで向かうことにする。乗り換え案内たんはなぜか小田急乗り継ぎ&(新)松田乗換えコースを勧めるのだが、到着時間が激早(9:40頃)という点を除いて、遅いし高いのだが。謎だな。
 途中、平塚で快速アクティ*1に乗り換え、国府津に、国府津でにち氏、マモル氏と遭遇し、御殿場線で御殿場入りした。
 現地でこぐ氏、あゆこ女史の夫妻と合流。教えたいただき、御殿場から須走口までのバス往復切符を購入(\2500円)。
 しばらく待って、やってきたバスでいよいよ須走口へと向かった。しばらくは目の前に富士の姿が見える、おいしいロケーションだ。やがて市街地を抜け、富士あざみラインのすげえ傾斜の道に入る。トルクだけはバリバリにある観光バスなので、危なげなく這い登ってゆくのだが、速度は終始20Km/h前後だった。驚いたことに、こんな道にも挑んでゆくローディーたちが散見されたことだ。そういえば、近々富士ヒルクライムが開催されるから、その練習だろうかと思った。帰宅してから調べてみたら、この富士あざみラインでもヒルクライムレースが開かれるんだとか。このルートは、スバルラインのように比較的緩やかな上りではなくて、細かく傾斜が変わりつつ、平均で12%、最大で20%超もの道が続く、坂馬鹿大喜びの超級の登りだ。日本のエル・アングリルの名は、ここにこそ相応しい。いや、自力で登りたくは無いけれど。
 バスは、路上駐車している車の横を通り過ぎて(上り線のみ、路駐規制されているそうな)、ゆっくりと須走口5合目駐車場に到着した。ここには食事も出来る土産物屋があり、腹ごしらえに山菜うどん700円なりを食った。肝心の山菜がわずかしか入ってないやんけ。
 ここで、5合目の看板を前に記念撮影した*2。僕は頭がボーっとし始めていて、あれ、もう高山病か、といぶかしく感じていた。後から思うに、これは夏風邪の予兆だったんだろう。
 さて、身支度して、さっさと上り始めた。すぐに古御岳神社に到着し、手を合わせる。しかし賽銭箱が見当たらなかったので、賽銭は出さなかった。そんな舐めた俺様を、祭神の大山祗神は見逃さなかった*3
 ここからしばらくは、緑の中を九十九折れの道が続いている。緑の中を歩いてゆく。富士山の森林限界は2400m程度らしいが、そんなにすっきり森が消えてしまうわけでなく、樹木が潅木になり、また樹木になり、潅木が草になり、また潅木になりを繰り返し、やがて気が付くと木々は消えうせていた、という感じだった。一方、背後を振り返ると、いつの間にか御殿場の市街地が小さく見え始めている。小さな芋虫が群れているような地形は、ゴルフ場だろう。広大な草地は自衛隊の演習地だろうか。高度を上げるに連れ、御殿場の向こうに見える山の上に、小さな池のようなものも見え始めた。あれが芦ノ湖か? 去年の夏、死ぬ思いをしてあそこまで登ったことを思い出した。一方、左手に見える湖は、山中湖だろう。大きさは芦ノ湖と大差無いのだが、位置的に大きく上から見下ろす形になり、大きさが強調されているようだ。
 そんな感じで、周囲の光景に目をやりながら上って行く。しかし、自分の体調に警報が発せられつつあった。やはり体がどうにも重いのだ。他のメンバーに全然追いついていけない。例によってこぐ氏が暗黙のうちに殿を引き受けてくれているのが心強い。だが気勢は上がらない。
 やがて6合目に到着した。たくさんの登山客が休憩を取っている。体の芯に重さを感じつつも、これなら上りきれそうだと見込みも立ち始めていた。ただ、自分でも意外なくらい水を消費してないのが気になった。こういうときは、よっぽど快調で汗をかいてないか、逆に体力を失いすぎて水を飲むことにすら気が回らないか、どちらかの場合が多い。後者の可能性が圧倒的に高いので、その後は気をつけて水を消費しつつ登って行く事にした。
 やがて森林限界を完全に越えると、道は高山らしい曲がりくねったものへと変わってくる。周囲の見通しもよくなって、目を上げると、ずっと上を進んでゆく人々の姿も見える。今回、須走口というマイナーな登山道を選んだこともあり、そんなにしょっちゅう他の人とすれ違うということも無かった。
 時間を気にしつつ、しかし僕の体力も気にしなければならずで、苛々しはじめた頃、また休憩ポイントらしき場所に出た。今日の宿泊地、大陽館はまだ上だろうと思い、旅姿を解かずに休憩していたら、実はここがそうだったことが判明した。拍子抜けした思いだったが、同時にホッとしつつ、今夜の宿に入った。
 荷物を今日の寝床に置く。その寝床というのが、布団は一人用を二人で半分づつ、ベッドの幅は辛うじて大人一人分、という有様で、確かに評判通りの物だと感じた。ただ、荷物を置く棚が、頭の方に別途設けられていたのは助かった。今日は客の入りもピークで、廊下にすら布団が敷かれていた。他の、もっと人気のある登山道では、布団一つに大人三人が詰め込まれる場合すらあるようだ。
 ともあれ、まずは食事だ。時間的に18:00を過ぎたばかりだったが、ここまでの上りをこなしてきた来た反動で、食欲は旺盛だった。
 メニューはハンバーグ、キャベツ(微量)、多少の付け合せ、そしてご飯と豚汁だった。ご飯も豚汁もお代わり自由で、僕は豚汁を3杯もお代わりしてしまった。レトルトに毛が生えたようなカレーライス一杯きり、という富士の山小屋の常識からすれば、遥かに内容的に充実している。
 疲労していたのと、明日は払暁とともに出発する見込みもあったので、早々と床に入った。しかし、これは悪夢への入り口だったのだ。

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