Strange Days

久しぶりにBD-1で、酒匂川を

2003年01月18日(土曜日) 00時00分 自転車 天気:まあまあいい天気

 最近、妙に旅心が募ってしまい困る。先週見た、冬枯れの奥湯河原は良かった。白々とした冬の相模湾も良い。生き生きと明るい季節もいいが、冬の荒漠たる世界を動き回るのも良いものだ。夢は枯野を駆け巡る(いやまだ死なんぞ)。
 今日も今日とて、ちょいと足を伸ばすことにした。足柄辺りから小田原に掛けて、酒匂川という川が流れている。この川に沿って、結構立派なサイクリングロードが続いていると聞いていた。そこで、久しぶりにBD-1を持ち出すべく、この酒匂川サイクリングロードを走ってくることにした。ついでに、その上流にある洒水の滝も訪問することにした。
 出発は、あれこれあって10:00過ぎだった。地下鉄で戸塚まで、戸塚からJR東海道線で国府津に、国府津でJR御殿場線に乗り換え、山北で降りた。ちょうど昼時だったが、あまり腹がすいてなかったので、そのまま駅前の道を走り出した。洒水の滝周辺で昼食にする目論見もあった。
 山北駅は鄙びた佇まいで、山間の住宅地の玄関口という有り様だ。駅周辺にはいくつも商店があるので、ツーリングの出発地には向いている。
 駅前の道を西に走ってゆくと、やがてR246と直交する。その間近には酒匂川も流れている。いかにも山間の幹線道路沿いという環境だ。
 R246を越え、南下して行く。走りつづけてゆくと、やがて右手に『洒水の滝入り口』という看板が見えた。そっちに曲がると、すぐ近くにラーメン屋があった。......事前情報ではトンカツ屋のはずだったのだが。まあ、腹もすいてないので、そのまま通り過ぎた。
 細い道を走ってゆくと、観光客相手の店が幾つか並んでいる。しかし、ほとんど空いてないようだ。季節が悪かったのだろうか。観光客は、ほんの数名しか見かけなかったのだが。
 短い激坂を登りきると、小さな公園があった。そこにBD-1を縛り付ける。その側に出店があったが、人気が全くない。
 静かだ。ここも、春から秋にかけては賑わうのだろう。この静けさが、冬のツーリングではかけがえの無い友となる。
 砂利道を登って行くと、いくつかの店屋(いずれも閉店中)を抜けて、やがて遠くから水音が聞こえ始める。側を流れる小川のそれとは違う、明らかに岩場に叩きつけるような音だ。ふと左手を見ると、水汲み場が整備されていた。そのときになって、水を汲むボトルを忘れてきたことに気づいた。昨夜、ポリタンクを持っていこうかとか考えてたんだが。少し考えて、自転車に朝食の供に持ってきたお茶のボトルがあるのを思い出した。早速、BD-1まで取りに戻った。
 水汲みは後回しにして、先を急ぐ。既に洒水の滝の姿は、前方の観瀑台の向こうに見えている。ややもすると滑るSPDシューズに注意しながら、観瀑台を登ると、端正な洒水の滝の全身が姿を現した。水量がそれなりにあるので迫力もあるが、白い布を翻したような姿は、整った佇まいを見せてくれる。夏には涼しげでいいだろう。冬真っ盛りの今は寒々としているが、それもまた佳しである。
 滝に向かって左手には、上から水がちょろちょろと落ちてくる、湿っぽい場所がある。滝の上流にはさらに別の滝があるそうで、そういう豊富な水量が、名水を生んでいるのだろう。
 飽きるまで滝を眺めた後、水を汲みに下りていった。水汲み場でボトルを満たしていると、別の観光客らしい二人連れがやってきた。今日、ここで目にした観光客は、来たときに下山してきた二人と、この二人だけだ。オフシーズンの観光地も、また良し。
 BD-1に戻り、いよいよ酒匂川沿いに下ることにする。地図で見ると、滝からすぐ東にある橋を渡ることが出来るのだが、ここがなんと工事中で通行止め。やむなく、一度山北近くまで戻り、R246を交差して、ずっと南下した橋を渡った。橋を渡りきったところにファミリーマートがあったので(コンビニエンスストアを見るとホッとする)、ここでおやつと昼食を買う。昼食は、なんとカップヌードル。火器で済ませようという魂胆だ。本当は洒水の滝周辺で済ませるつもりだったんだがね(とほほ)。
 ファミマを出て、すぐ南の交差点で川方向に曲がり、少し進むと、土手の上に立つ小公園に行き当たった。この辺からサイクリングロードが始まっているはずだ。
 公園にはトイレも水場もあるので、ツーリング中に立ち寄るには便利だ。早速、休憩所のテーブルで湯を沸かし、カップヌードルを作った。こんなカップラーメンでも、寒い冬にはとても美味しく感じてしまう。さらに洒水の滝で汲んだ水で、コーヒーを淹れた。なぜかまろやかな、角の取れたような美味しさを感じる。
 一休みして、いよいよサイクリングロードを下り始めた。公園の東端から始まった道は、アスファルト舗装で、ダブルトラック程度。境川と比べると、道幅は少し狭いが、左右に柵が無いので開放感がある。すぐ左には酒匂川の河川敷が広がっており、気持ちいい眺めだ。
 上流ではだいたい土手の上を走っているのだが、ある程度下流からは河川敷に降りたりする。すれ違う人は少なく、自転車はなお少ない。気合の入った自転車乗りは、ロードバイクで遡ってきた男性だけだ。
 河川敷から、また土手に上がったところで、道は並木に挟まれた気持ちのいい道になる。境川より快楽指数は高そうだ。
 ここまで、だいたい20km/h程度でゆっくり走って来た。BD-1は、これくらいの速さから、30km/h弱くらいまでが、一番気持ちいいように思う。ロードバイクだと+5km/hくらいで快適になる。速度域が厳然と異なっているのだ。BD-1は、やっぱり折り畳みという機能を中心に考えるべき自転車だと思う。その点、輪行のしやすさとか、非常に良く出来ていると思う。
 気持ちのいい並木道も、橋をいくつか潜ったところでお終いだ。全長8km程度の短いサイクリングロードだった。初夏に走ると気持ちいいだろうな。
 地図を眺め、近くを走る小田急の線路に沿って走るのが正解と判断し、小田原駅へと走り出した。しかしこの道、交通量が多くて気持ちよくない。快楽指数最大を目指すなら、最寄の小田急駅からさっさと輪行すべきだろう。
 小田原駅着は15:00前後。山北駅から4時間程度の、小さな旅だった。


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