Strange Days

飛翔体騒動

2009年04月06日(月曜日) 14時39分 思考 天気:晴れ

 あほらしい。
 そもそも、北朝鮮が日本に"飛翔体"を落とすわけが無い。逆に落としてならない理由ならいくらでもある。そういう意味で、変な話ではあるが、今回の騒ぎから一番安全で居られた国は、日本だったはずだ。実際のところ、北朝鮮からすれば韓国や中ロに落ちてしまう方がよほどマシで、日本の領土に落ちそうになったら、即座に爆破してただろうと思う。絶対に、日本本土に落とさないこと。それが至上命令だったはずだ。だからこそ、わざわざ金正日が視察していたのかもしれないというくらいに。
 万が一日本の国土に落ちたとすれば、北朝鮮は日本からの地下送金を完全に止められてしまうだろうし、日本経済が不安定になれば相互依存が進んでいる中ロにも大きく響く。そんなことは、まず中ロが許さない。アメリカ相手なら海の向こうと笑っていられるが*1、陸続きの中ロ相手では洒落にならない。特に中国を怒らせると、金王朝そのものの息の根を止められかねない。今、北朝鮮を実質的に併合してしまっても、『まあ仕方ないか』と思わせられる国は、大韓民国じゃなくて中華人民共和国しかないよな。それくらいに中国の影響力、言い換えれば北朝鮮から見た脅威は大きいのだ。その中国にとっては、今は経済第一で、日本経済をふらつかせるような事態は絶対に避けたいものなのだ。少なくとも、自分でコントロールできない事態など願い下げだろう。そんなわけで、北朝鮮が日本を『本当に』攻撃することなんて出来っこないのだ。
 また、万が一の事故で日本に落としたとする。あるいは日本近海に落としてしまい、回収されてしまったとする。そうするとこのロケットの能力なんて、同じくロケット開発能力を持つ日本からすれば一発で判明してしまう。そうなると、核搭載能力の有無も自動的に分かってしまう。これは、北朝鮮が握っておきたい核攻撃カードの性質からして、非常にまずいことになる。脅威の詳細が判明すれば、現実的な脅威として対処可能になる。その実在が疑いようの無いものならば、欧米のみならず、中ロの態度も硬化する。『なんだか分からないが恐ろしいもの』の範疇にとどめておかねば旨みの無い北朝鮮は、日本にロケットの情報が渡る事態を避けたいだろう。
 こう考えてゆくと、そもそもが日本に北朝鮮のロケットが落ちる可能性なんて無かったのだ。
 だいたい、ICBMと宇宙開発用のロケットなんて同一のものといっても差し支えないのだから*2、飛んだものを見て『ああ、これは宇宙開発用でした』なんて区別するのは意味が無いことだ。北朝鮮という日韓欧米*3から信頼されていない『ならず者国家』が、容易に核攻撃用に転用できる技術を持っていること自体が脅威なのだ。北朝鮮に対しては脱ならず者国家を要求するか、ロケット技術を放棄させるか、二つに一つしかないのだ。


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