雨は降り続く。でも、今日は、この旅の目的を果たそうぞ。
十日市の朝は、雨だった。それどころか、いつ止むか分かったもんじゃない。今日も盛大に降られ続けるのだろうか。
朝食を取りつつ、天気予報を見ていたが、芳しくない。
そんな憂鬱な朝だったが、少し雨の様子を見て、宿を後にした。今日はまず、十日町に用がある。その後で、どうするか。
ちょっとゆっくりした行動開始だったのは、今日の目的地が開館するのを、待っていたから。十日町博物館。ここに、この周辺で発掘された、いわゆる火焔型土器が集積されている。それらをこの目で見るのが、この旅の目的の一つだ。途中、立ち寄ったコンビニで見かけた、
ISDN電話。四半世紀ほど前、この類のボックスでパソコン通信していたものだ。
十日町博物館の駐輪場に、BD-1を入れる。雨が蘇らせたのだろうか、
紫陽花がやたら元気だ。
さて、十日町博物館。入ってすぐに結構広い陳列室があり、その奥に行くに従って狭くなってゆく感じだ。1Fは、専ら民俗資料が陳列されており、十日町の産業やら暮らしやらがわかる、まあありがちな構成になっている。
問題の火焔型土器は、2Fだ、2Fは縄文、弥生期を扱っており、
火焔型土器は国宝のお墨付きともども、別室に陳列されている。いわゆる火焔土器は、国立博物館所蔵のあれを指し、類型のものは全て火焔型土器と呼ばれる。その中でも、十日町で出土したものには、火焔土器の迫力に引けをとらないものが多い。
この日陳列されていたものも、見れば見るほど異様な迫力がある。煮炊きに使われた形跡があり、しかし実用に向いた作りでもないので、何らかの祭祀に用いられたのだろうとのことだが。どんな神のために、こんなものが作られたのだろうか。
この博物館の向かいには、
復元された竪穴住宅の類もあるようだが、無視。雨なんだよ!
ところで、困っていたことがあった。BD-1のギアシフトが決まらないのだ。よろしい、シフトの調整をしよう。ということで、駐輪場でしばらく調整を試みる。やり方は簡単。シフター側のテンショナーを回して、リアハブ側面のシフトインジケータを合わせるだけ。なのだが、なんとケーブルが延びすぎて、調整幅を超えている! 外装式ならば、1速分捨てて、次に合う山を探すという手が使えるが、内装式だと合わないとまるっと使えなくなる。じゃあ、ケーブルを締め直すしか無いのだが、これ、どうやって固定してるんだ?
スマートフォンで取説を探したが、ハブの説明書には載ってない。シフターの方に載っていた。
ようやく構造を理解する。ケーブルにボルトで固定する小物を取り付け、それをハブ側面のサークル部に固定するのだ。工具が足りない。モンキーレンチが2本要る。よし、ホームセンターだ。
昨日寄ったホームセンターに向かい、モンキーレンチを購入。
駐輪場で調整した。よろしい、安心した。
もう昼時だったので、ホームセンター近所のラーメン屋で
昼食を取る。今日は全く走ってないので、お腹が空かない。
もう気力が萎え萎えなので、輪行したかった。駅に向かう。駅前の、
なにかの遺構?
しかし、自転車を畳んで、いざホームに入ると、次の電車は2時間待ちという事実に愕然とする。なら、自走するか。また駅を出て、走り始めた。幸い、雨はほぼ止みかけていた。
川は、新潟に入った辺りで信濃川と名を変えている。小千谷市で魚野川と合流する辺りは、川筋が曲がりくねっているのと相まって、結構複雑。これは、そこを超えた辺りにある、
小千谷発電所だったかな。
ごつい感じの橋を渡り、三国街道に合流する。
雨は止んでいたが、まだ降りそうな気配もあり、出来るだけ早くに宿に入りたかった。信越本線沿いに淡々と走る。あまり川沿いの旅では無くなってしまったな。
遠くに、
上越新幹線の高架を見ながら北上する。やがて、
長岡駅に到達。長岡は、意外と言ってはなんだが都会で、この辺りでは随一の拓け具合だった。本当は、駅近くにある歴史物件を見ておきたかったのだが、今回は豪快にパスするよりほかない。宿を取った見附は、まだまだ先なのだ。
見附の宿までは、川筋はおろか、駅からもやや外れた場所を走らねばならない。スマートフォンのナビゲーションを頼りに、押切から東に回り、宿に真南からアプローチする。やや疲労しながら走っていると、市街地の端の方でアイス屋さんをめざとく見つけた。
最後の補給だ。
谷信というアイス屋さんだった。優しい甘さの、何か懐かしくなる味わい。消耗していたが、だいぶ回復できた。
宿は旅館早川屋。おしゃべり好きな女将さんが、趣味で始めたような案配の宿で、
なかなか素敵だ。
お食事も丁寧に作っている。ただ、泊まった部屋のすぐ裏にランドリーがあって、便利なんだか防犯上困るんだかではあったが。
消耗したので、爆睡。しかし、すぐにすっくと起き、テレビにICSをぶっ挿してみた。ここのテレビには、ちゃんとHDMI端子がある。大画面で使うPCは、やはり何かと便利だ。