ずっと
ニコンのファーブルシリーズが欲しいと思っていたのだ。
ありふれた公園の一角にある池から一滴取り、こいつで観察する。するとミジンコやら藻やら卵やら、なんだか正体不明の存在やらに対面できるというわけだ。なかんずくミジンコ狩りは楽しそうじゃないか。趣味として口外するのはナンだが。公園にもそのまま入ってゆける自転車との相性は異常。一日にいくつでも狩場を渡り歩いて、無数のミジンコと対面できるかと思うと、なんだか胸が熱くなるぜ。
とはいうものの、ファーブルシリーズはそれなりの値段なのだ。一番安いミニでも\26000、一番欲しいフォトだと\65000だ。キャー! しかもフォトはCoolpixしか使えない。
これは簡単に手を出せないなと思いなおし、とりあえずはルーペ型のもので楽しむ方向に頭を向けた。しかしルーペ型だとせいぜい5x程度の設定ばかりだ。これではミジンコは無理だわ。なら菌類や花粉かな。動かないので、ミジンコよりは勝算ありそうだ。
対地光学兵器もよろしいのだが、やはりそろそろ対空光学兵器も新型導入の時期だ。8インチのシュミカセを手放して久しいが、あれは大失敗だったな。4インチ屈折程度では木星の縞には歯が立たない。まして、ここは日本一空の明るい横浜だ。まあヤビツにで担ぎ上げれば勝算あるかもしれないが。そんなわけで、8インチを手放して以来、木星は大赤班と縞一本の存在に成り下がっていた。白斑は無理でも、もう少し縞は増やしたい。
というわけで、最新の8インチ鏡筒を物色中だ。いまどきの8インチはGPS+自動導入でらくちんモードが売りのようだぞ。僕の場合は見たい天体はほぼ決まっているので自動導入は要らないかもしれないが、それでもあればあったで気ままに未見の天体をハント出来るかもしれない。もっと気楽にと思ったら、経緯台に載せ変えれば済む話だろう。
最大の問題は、部屋の中に荷物が多すぎて、置き場所を確保しにくい点か(虚ろな笑い)。
みはる女史から誘いを受け、東京上野博物館に行ってきた。
上野駅公園改札口に9:00ということだったので、6:30に頑張って起きた。
D70を担いで公園口を出ると、しばらくしてこぐ氏登場。みはる女史、Asako女史、そしてこば氏が出てきた。
国立博物館前は、開館20分以上前だというのに、100人を越える行列ができている。これは、企画展の大徳川展の入場者だ。我々の主眼は別にあったが、それが終わったら徳川展を見てもいいと思っていた。しかし、
この行列は……。
まずは主眼を見よう。国立博物館で、今VRシアターが開催されている。トッパンが主体になって作ったようで、そのウェブ解説の英語版をみはる女史が担当したのだとか。その縁で見に行くことになったのだ。表慶館エントランスで受け付けてもらい、定刻に史料館にあるVRシアターまで案内される形式だ。
今の題材は法隆寺から皇室に寄贈された国宝、聖徳太子絵伝。かつては法隆寺の絵殿にあったのだが、痛みが激しかったため、江戸時代に模写したものと差し替えられ、秘蔵されてきたものだ。明治期に入り、廃仏毀釈の余波で仏教勢力が衰退した際に、寺宝の保持を図って皇室に献上するという手段を取ったのだ。もともとは天皇家に関わり深いものであり、またちょうど廃仏毀釈の行き過ぎからの文化財喪失に対する危機感が強まっていた時期であったこともあり、この絵伝の保護は成った。
シアターは240インチのスクリーンを表示部とし、投影される画像をナビゲーターが手許のコントローラーで操ることが出来るものだ。ある程度はリアルタイムに描画しているようだ。どんなプロセッサを使っているのだろうか。
題材の聖徳太子絵伝は、聖徳太子の生涯を、10面の屏風に描いたもの。いや、元は壁画だったのだろうか。ともあれ、それだけの広さに、太子の一生が60あまりのエピソードとして書き上げられている。しかし、それらは時系列とは無関係にちりばめられているので、それらのエピソードに明るくない者には、そもそもどういう順番なのかが分からない。
それにしても、画像の緻密さには参った。実物の質感を想像させるに十分なものだ。
終了後、実物を閲覧できる、法隆寺宝物館に入った。絵伝は年に1ヶ月しか公開されないらしい。館内の陳列物は、寺のものなので古い時代の仏像がやたら多い。
実物の絵伝は、やはり痛みが激しく、何が描いてあったのか分かりにくい部分が多い。特に左端2枚は激しい。場所的なものなのか、8枚目までは修復が試みられた結果なのか。
1Fにレストランがあったので、まだ少し早いが昼食を取った。社食の230円うどんでよしとしている拙者には、大層ハイソでお高い食事だった。たまにはよし。
博物館の庭の大樹も、そろそろ秋色に染まりきっている。
国立博物館を出て、次に国立科学博物館に入ることにした。大ロボット博を見ようというのだ。と、その前に。ちょうど『もやしもん』に絡めての講演があるということで、急遽立ち見することになった。もやしもんは『醸すぞ!』だけ知ってた。この漫画に絡めて、身近なカビに関する話をするという趣向で、担当した学芸員氏も「こんなに集まるとは思わなかった」という
盛況だった。
大ロボット博の方は、ガンダム、ガンダム、Asimoという感じ。会場に入ると、まずは
ずらりと並んだガンプラがお出迎え。ジオングにちゃんと足が生えていて、「おかしい、飾りのはずじゃなかったのか!」と唸るのがお約束となっていた。
1Fはステージと、会場を取り囲むようにして各種ロボットが並んでいる。ステージ後方には、
こんな禍々しいものが立ちはだかっている。押井守の名も見えるので、その線なのか。こんな怖いものが待ち受けている未来なんてイヤン。しかし異空間の演出としてはナイス。
会場には、もちろんヒトガタのロボットが多かった。しかし造型にひきつけられたのは
この車両。この流線型ぶりはコキブリ様を想起させる。えーっと、なんの用途に使うんだっけ。説明文を読み忘れました。
なんだかコワイで賞は、
この作品だ! 造型もそうだが、色合い、質感、すべてヤバイ。夜道にこんなものと行き会ったら泣いちゃうと思う。社交ダンスのお相手をしてくれるのだとか。ステップの都合上、ちょうど足の部分が空洞になっている。
2FはAsimo特集だった。入ってすぐの場所に、
歴代のAsimoが出迎えてくれる。この小型化っぷりは、遠近法だけじゃない。
ステージでは30分ほどのAsimo劇が上演されている。近未来の家庭にAsimoが入ったという設定のお話だ。
実物のAsimoを見るのは、実は初めて。
望遠で寄って、バシバシ撮ってみた。こういう場合、VR2は非常に頼りになる。
科学博物館を出て、ここで女性陣とはお別れだ。僕はこば氏、こぐ氏と共に、御徒町に立ち寄ることにした。
しかし、博物館といい、科学博物館といい、また来たくなる施設だった。
世界最大の陰謀組織(爆)NASAによれば、
火星の地表に液体の水が存在しそうだということだ。
火星の地表には多くの侵食跡が残されており、太古にはちょうど地球の地中海くらいの大きな海が存在していたとされている。生まれたばかりの頃の火星は液体の水が豊富だったのだが、火星は地球よりはるかに小さなサイズでしか無いため、水蒸気を多量に保持して置けるほどの大気を引きとめておく事ができなかった。そのために長い間に水蒸気は火星圏外に逃げ出し、今では液体の水はまったく残っていないとされていた。しかしそのようにして逃げ出す前に火星が充分に冷え、凍り付いてしまった水(すなわち氷)が、極地方や大きなクレーターの内部などに残されているのでは、と考えられていた。
今回、液体の水が見つかったのは、地表に発達している渓谷や、クレーターの側壁からだった。正確には、ごく近い時代に水が流れた跡が見つかったということだ。火星を周回して継続観測しているMars Global Surveyorが撮影した画像を処理した結果らしい。地表のごく小さな痕跡をも見逃さず捉えたMGSの能力は、まさにスパイ衛星並といえるのではないだろうか。
この痕跡は、恐らくは火星のあちこちに残されている氷が、地熱かなにかで急に溶け出した結果生じたものだろうとNASAの科学者たちは推測しているようだ。これは液体の水が存在していることが重要というよりも、火星で水を得るのは存外に簡単かもしれないという可能性を示唆する点のほうが重要だ。
恐らく、いずれ火星への有人探査ミッションが企てられるだろうが、火星で水を簡単に入手できるとなると、行きの荷物を随分軽減させることができる。乗員の生活用水としてはもちろん、エンジンの反動材としても使えるはずだ。水を適当に処理すれば水素を得られるから、これを適当な熱源を使って噴射してやれば帰りの燃料まで携行する必要は無くなる。
きっと、宇宙大好きな人々には小躍りするようなニュースだろう。まあ有人ミッションとなると無人探査とは桁違いの金がかかるので、打ち上げられる前に議会で撃墜されてしまう可能性は大きいのだが。