Strange Days

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2011年3月12日(土曜日)

東北の震災を横目に、境川散歩

暮らし , 思考 , デジタルカメラ , 自転車 ( 自転車散歩 ) 23:37:00 天気:晴れ
 東北の惨状が次々に伝えられる。地震そのものの被害は、案外に少ないようだ。そういう意味で、直接的な地震被害に対する備えは成功だったのではなかろうか。しかし、これほどの規模の大津波に大しては、どんな備えも無力な気がする。この危険を減らすには、居住地そのものを変えるしか無いだろう。海辺は不急のユーティリティスペース*1を置いて、出来るだけ高所に人家を置くくらいしか対策を思いつかない。まあ、この度の大津波が、人類が備えるべき最悪値なのだと考えて、巨大な防潮堤を築くというのも考えではあるが、莫大な費用がかかるだろう。
 それにしても、木造家屋がいともあっさり、根こそぎ破壊される様を見ると、これが石造だったらどうだったのだろうと考えてしまう。壊れにくいだけでなく、津波被害を甚大化する瓦礫を減らすという意味でも、どうなんだろう。解体撤去が簡単なのが木造の美点ではあるが。
 夕刻、普段の世界を思い返すべく、Bromptonを境川に走らせた。
 湘南台南方の果樹園で、Lumix GH2で樹花をパチパチ。地味な花だが、心洗われる。
 遊水池のグラウンドで、今日も翡翠を待つ。遠くに見え隠れするが、風向きのせいかグラウンド側に近づかない。仕方ないのでBromptonを撮る。
 日が落ちようとしている。なんとなく、暖かな光景になってきた。
 帰宅して、震災情報を追う。やはり画像のインパクトが強烈だ。昨日の夜見た気仙沼火災の様子は、まるで地獄のようだった。また津波の様子も、いくつもYoutubeやニコニコに登録されている。そして気がかりな福島原発の情報を追ううちに、また夜が暮れて行った。
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2010年12月02日(木曜日)

今年の私的3大ニュース

暮らし , 思考 20:59:00 天気:くもり
 というネタで、記事を一つでっち上げようと考えた。のだが、これが難しい。ワシぐらいの歳の勤め人になると、生活はほぼ平板そのもので、これというトピックもありゃしない。とはいえ、三つくらいならひねり出せようぞ。しかし、『~を買いました』の物ネタは、余程のことがない限り取り上げたくない。というわけで、平板にして平凡にして平坦な生活ながらにひねり出した3大ニュース。

・自転車通勤中断
 駐輪場廃業*1。そして戸塚駅周辺の駐輪場枯渇ぶりが重なって、見事に駐輪場難民に。駅近に数千台規模の駐輪場がボコボコ出来ているってのに、違法駐車がすぐに増えるわけだわ。おかげで徒歩で自宅まで*2帰る機会も増えた。しかし、運動量は確実に減っただろう。生活へのインパクトはピカイチだった。

・あちこち旅行に
 仕事量が妙に増大中なので、あまり出かける機会がないだろうと考えていた。しかし、去年末のポケロケ購入がきっかけになり、同じく去年末の伊豆西岸、年初のしまなみ、3月の同じくしまなみ縦走、五月連休*3の九州横断、5月末の南会津、真夏の*4しまなみ、9月末の遠野、そして11月の出雲と、ずいぶん出かけている。他にも青春18きっぷ消化や、奥鬼怒の秘湯探訪のためにも出かけているので、ほぼ毎月どこかに旅行していた計算だ。まあ仕事量が増えたとはいえ、休日はきっぱり休まされる職場だからというのもあるな。

・ケータイ一新。VAIO X到来
 もの買いネタは書かんと言いつつも、結局書かざるをえない。去年後半にHT-03Aを買ってAndroidの世界に踏み入ったわけだが、今年は7月にauのIS01を買い、つい最近には海外通販で買ったMotorola DefyをHT-03Aの後継として使い始めた。回線費用もドコモMVNOのおかげで、制限はあるが削減できたわけだ。加えて、2年半使ってきたW62CAを、G'z OneType-Xに機種変した。これで、予備の予備であるWillcom03以外は一新された。さらにノートPCとして、SONYのVAIO Xを導入。LOOXが携帯性の為に様々なものを犠牲にしているのに対し、こっちは実を取った性格の機械だ。旅行用に、コタツトップに活躍中だ。

 こうして振り返ると、意外にアクティブな年だった印象があるな。来年はどこを走ろうか。
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2010年8月06日(金曜日)

夏休み突入前日

暮らし , 思考 23:17:00 天気:いい天気だ
 明日から職場の半分の人員が夏休みに突入する。翌週はもう半分だ。こういう場合、得てしてやばい事態が持ち上がるものだが、今年は出尽くしたのか、あるいは暑さに顧客もへばったのか、そういう話を聞かない。無事に突入できそうだ。
 自転車は実家に送ったし、明日は夜の出立なので、のんびり出来そうだ。暑い中、歩いて帰宅した。
 そういえば、原爆記念日。今やなにほどの意味があろうやと思いつつも、惨禍に見舞われた人々の冥福を祈らずにはおられない。
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2010年7月11日(日曜日)

鎌倉に颯爽と出かけ、気象の神に散々な目に遭わせられる

自転車 ( 自転車散歩 ) , 暮らし , 思考 , 美術館 23:12:00 天気:雨
 今日はなんとなく早めに起床。うん、意外に気力が充実している。どこか出かけよう。
 ところが、こういう日に限って、天気がいまいちなのである。今のところ降ってはいないが、なんだか禍々しい雲が南海を通過中だ。大丈夫かなあ。まあ降ったら降った時だ。というわけで、ポケロケを乗り出した。鎌倉、あるいは葉山の近美に行ってくるつもりだった。と、その前に投票。心づもりとしては、安定を求めて民主に票を投じるつもりだったが、発足以来の成果の少なさ、政局運営のグダグダぶりに、ヒヨってしまった。雨の影響もあったかも知れない。土台、2大政党制なんていう幻影を信じることは出来ない。
 途中、おやつのつもりで、PINYのパンを買い求める。そして店を出たところで、パラパラと雨に遭遇した。意外に雨粒が大きい。少し様子を見て、ここで引き返そうかなあと逡巡したが、意を決して鎌倉に向かう。鎌倉からならすぐ帰れるだろう。
 近美に入館するまでに、雨は止まずとも強くはならず、という感じで降り続いていた。気象レーダーを見るに、この先もイマイチだ。
 近美鎌倉では、『鬼と遊ぶ 渡辺豊重展』が開催中。抽象化された"鬼"を中心に、版画、塑像を展示している。悪天もあり、ちょうど人っ子一人いなかったので、常に無くじっくり見て回り、あまつさえ持っていたIS01に印象をメモしてしまったくらいだった。以降、その時のメモをそのまま。
第1展示

鬼とマドンナ(尽きせぬ夢)
ブロマイド、あるいはポスターに向かうかのような鬼。巻き込まれるような空気の流れに思いを見る。

襲いかかる赤
吹き付け、風巻くような赤と、立ち向かう指先の軌跡。

法螺吹き
ため息に見えた。

鬼と童子
鋭い爪先。でもどこか優しげ。

鬼とマドンナ(燃える思い)
指先から立ち上る想い。でもクールなマドンナ。

鬼とマドンナ(会話)
平和な会話もできます。

闇の誘惑
闇に呑み込まれそう。闇は狐のような、女性のような何かを浮かび上がらせる。


長谷川等伯的。ゴージャス。(金箔張りの作品だった故の印象)

誘惑
大作。いまいちピンと来ない。

救うか
上から差しのべられようという手。その回りに渦巻く雲が、白い善意であり、黒い逡巡である。

暗雲
さしのべられると同テーマ。だが背景の暗雲が真逆の意味を与える。

立ち向かう
青に飲み込まれようという時、それでも毅然と立って拳を振り上げている。

襲いかかるもの
舞い上がるのはまだ早い
同テーマ。前者は背景の赤さで禍々しい危機を表す。しかし後者は優しいオレンジでトロピカルな暢気さを表す。

五月の風の中で
寄り添う二つ
同テーマ。(彫刻作品)

鬼になりきれなかった鬼1~3
半身は鬼。でも半身は丸いまま。だから。(鬼になりきれなかった鬼というタイトルに付いて)

雲つかまんと
大作。不思議と躍動感なし。

闇の踊り
珍しく2匹の鬼が。

あふれでるもの
背景からにじみ出すもの。力強いポーズ。躍動感はなし。

第2展示

鬼 5作
筆致として日本昔話っぽい。

鬼(把握せんと)
まさに把握せんとさしのべられた手。

天上奇奇/天下怪怪
天上奇にして美。天下奇にして険

鬼(四面楚歌)
火事に巻き込まれたかのように暗雲に飲み込まれて行く。それでもすっくと立つ。

鬼(相剋)
拳を突きだし、しかし腰の引けた鬼と、身を引きつつも足蹴で反撃する鬼。

 同じように、なにやらメモしながら歩きまわる女の子も見掛けた。宿題かね。
 1Fのベンチで池を見つつ、また激しくなってきた雨を観測した。止みそうにないな。やむなく、まずは徒歩で別館に向かった。別館では様々な版画を展示していた。が、時を置かずに入館してきたおばさま方が賑やかなので、いまいち入り込めない。
 別館を出ても雨は止まない。気象レーダー画像を見るに、この先も悲惨そうだ。覚悟を決め、唯一の雨具であるポンチョをまとい、北鎌倉に登った。ポケロケなら楽々だが、走りだすやいなや雨が最強に強まったのには参った。待ってたのか。そういえば、このところお天道様を愚弄する発言を繰り返していたな。これはその怒りか……。
 それでも、大船に抜けた頃には雨が小振りになり、境川に出た頃には止みかけていた。雨具をしまい、境川を北上した。
 帰宅して、汚れたポケロケをざっと水洗いし、その後でワックスがけしておいた。チェーンは外して洗う。その間も、雨は降ったり止んだりで、風も強くなってきた。さほど暑くもないが、湿度が高くて嫌な夜になりそうだ。
 なんて思っていたら、民主大敗。これはちょっと、自民を勝たせ過ぎたな。
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2010年5月10日(月曜日)

徒歩帰宅とPC中身入れ替え検討

暮らし , コンピュータ , 思考 22:02:00 天気:下り坂
 帰路、案外に雨に降られなかったので、テクテク歩いて帰宅した。空が明るい時間帯に歩くのはいい。
 帰宅して、主力機の中身入れ替えを検討する。今はAthlonx2 4850eを使っていて、これはTDPが50W切る省電力設計な事もあって使い勝手がいいのだが、もう少しパワーが欲しい。新しい機械を買うのも何なので、メインボードとメインプロセッサを入れ替えてしまおうと考えている。TDPから考えてi7は論外で、INTEL i5、あるいはAMD PhenomのTDP65Wクラスのものが狙い目だ。AMDプロセッサが続いたので、今度はINTELにしたいな。発注済みのATOMはINTELだが。
 しかし、調べてみると、今使っているメインボードはPhenomにも対応出来るようだ。なら、プロセッサだけPhenomにというのも一考の余地ありだが、その場合は4850eの使い道に困る。これはWHS機に流用したい。今のWHS機はAMDプロセッサではあるが、Athlon64世代で、Socket939だ。つまり今のプロセッサを流用出来ない。メインボードは安いし、やはりプロセッサと対での移植を考えるべきだな。
 プロセッサのアップグレードと、ストレージのSSD化が出来れば、夏場でも使い易い機械になりそうだ。
 寝る前、島原の乱に関する本を読む。キリスト教徒が日本土着の仏教、神道を攻撃し、破壊してゆく下りでドキドキし、島原で彼らが全滅してゆく下りについつい胸がスッとしてしまう。危ういな。
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2009年9月18日(金曜日)

HTV無事結合

思考 17:48:18 天気:くもり&パラパラ
HTV『ISSとつながったまま宇宙を飛んでるなんて。頭がフットーしそうだよぉぉ』
 結合と聞くといやらすぃ妄想がもうもうと立ち上がる厨二脳の俺。
 これで少なくともプログレスのレベルには追いつけたのだろう。でも、この先も待っている打ち上げ重量競争に対しては、今のままじゃ勝ち目無いな。打ち上げ回数に関する制限が、ロシア、中国よりきつい。1回当たりの打ち上げ重量をさらに伸ばすにしても、H2系の基本設計では苦しいんじゃないかな。今回のH2Bも相当な改設計があったと聞く。さらに大幅な改設計をするにせよ、新規に設計するにせよ、多額な資金が必要で、今のJAXAにそんな余裕はないだろう。民主党政権にそんな甲斐性はないし、第一こういう"進歩的"な投資には無条件で反対するような奴らと連立を組んでいるのだし。といって、自民党政権下でも苦しかったのには変わりがないわけだ。
 たぶん、国家に期待するよりは、資本家たちが宇宙開発に価値を見いだすようになるのを期待すべきなのだろう。そうすれば、数秒で数兆円が動くマネー経済が、瞬く間に解決してくれるのだから。
 んで、宇宙でなにがしたい? 自前の宇宙望遠鏡を持ちたい? 宇宙旅行? それじゃあ、まだまだ資本家たちの金は呼び込めまい。半導体産業のような、ボリュームコスト比が並外れている産業が、どうしても宇宙に進出しなければならなくなった時、やっと地球外空間が人類の生活に組み込まれるのだと思う。
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2009年8月30日(日曜日)

雨に脅かされる日曜日

暮らし , 思考 , 自転車 ( 自転車いじり ) 23:54:00 天気:くもりたまに雨
 選挙サンデー。昼飯の買い出しついでに投票してきた。今回は結果が目に見えているので気が重いが、いつものように白票を投じるわけにも行かない。まさに政党選択選挙だな。今回は最高裁判事の経歴を調べ忘れていて、意味のある投票が出来なかったのが悔やまれる。投票を終えて外に出るとパラパラッと来たので、慌てて自宅に戻る。
 さて、この買い出しの際、小細工したTCR-2で出かけた。小細工というのが、ペダルを交換したのだ。ここのところ、TCR-2でペダルに負荷を掛けると『ペキッ』というか『クキッ』というか、そんな感じの異音が生じる現象に悩まされていた。ペダルを組み付け直したり、ペダルの分解を試みたりしたのだが、はっきりした原因は分からなかった。しかし、ペダル*1のうち右側のものにガタが出ているところから、これが原因ではないかと推測していた。そこで安いけどリフレクタの着いたペダルと交換してみたのだ。
 往復した結果、解消されてない! 原因は別か。こうなると、BBか。BBは増し締めした*2ことはあったが、こうなるともう一度組み付け直そう。
 ばらして思い出したのが、BBの右側にスペーサーを咬ませてあったことだ。MTB用のクランクセットであることが一因だ。チェーンラインが普通には出せないのだ。
 一度外して清掃し、それから組み付け直した。今回気づいたのが、左ワン側のネジが深く切られすぎていて、右ワンを締め込む前に左ワンを締めると、右ワンもそこで固定されてしまうことだ。つまり、右ワンを先に締めなければならない。各種マニュアルでは、左ワンを締めてから右ワンを締めるようになっていたので、その手順を取ると右ワンが十分に奥まで入りきらない。
 そのようにして組み付けた自転車で、試走する。見事に解消された。要するに、かの音は右ワンに僅かな隙間があったので生じていたのだろう。これで気持ちよく乗れる。ってか、これならシュアーフット・コンパクトに戻してもいいんじゃないか。
 夜、早速自民の歴史的大敗の報が伝わる。麻生さん、ご苦労様でした。彼が頑張ったおかげで、自民は敗戦後の総裁候補を残すことが出来たわけだ。選挙に負けたなら、また適切なマニフェストを掲げて勝てばいい。それが議会制民主主義というものだ。
 民主政権最大の課題は、マニフェストじゃなくて*3連立すること自体だろう。よりによって社民党だなんて。あれは共産党以上の原理主義者団体であり、要するにアルカイーダ日本支部みたいなものだ。柔軟性の全くないガチガチの原理主義者を政権に抱え込めばどうなるか、前回自民下野時の大連立から学ばなかったのだろうか。それとも、その牙を抜く密約がなっているのだろうか。それくらいには頼りになるよね、小沢さん。
 こうなると、むしろ来年の参院選で民主が安定多数を確保できることを祈る方が早い。その結果連立を解消出来たらいいのだ。それで民主に3年間の白紙委任が与えられる。そこまでやって実績を残せなければ、今度は民主が下野する番になるだけだ。それが出来て初めて、二大政党制などと言えるようになるのだから。
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2009年7月10日(金曜日)

境川回って帰宅

自転車 ( 自転車散歩 ) , 思考 , デジタルカメラ 19:52:00 天気:くもったり晴れたり
 夕方は、昨日に続いて境川周りで帰った。
 時期的に、確かに暑くなってきてはいるが、まだまだ脳が煮えるほどではない。EPICを昨日と同じルートで走らせる。微妙に漕ぎが重い気がする。そろそろチェーンの潤滑油切れか。
 境川に入り、下流の自販機で一服する頃にも、まだ空は明るい。ただし、雲が多くて、夕日は拝めそうになかった。と思いきや、北上し始めるとあれよあれよという間に雲が切れ始める。無事に夕日を見送れそうだ。
 湘南台を過ぎ、西の丘が低まったところで、再び日没に遭遇する。雲が多いおかげで、最近になくきれいな夕景を醸し出している。うん、これはいい。
 今日も一日老いてしまった。その分賢くなったかといえば、そうは思えない。無駄な一日だったといえば、そうかもしれない。でも、その終わりにこんな風景を見ていられたのだから、決して悪い話ではないじゃないか。
 もう一枚撮ろうと、Xacti CA6を取り出すと、電池切れ。まあ、こういうこともある。ってか、電池切れ間近だったのだから、早く充電しとけよな。代わりに、W62CAで一枚撮っておいた。200万画素でも、ウェブ用に縮小するなら差は感じない。
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2009年6月26日(金曜日)

さらば>逝く人々

思考 17:46:42 天気:晴れ
 ジャイケル・マクソン(仮名)が逝ったと思えば、ファラ・フォーセットも逝っちゃったんだね。この人はわしにとって、まさに美人の中の美人さんという人だった。ハリウッド規格最上級品というべき人だったな。
 80年代、70年代それぞれを想起させる人々が、また逝った。
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2009年5月27日(水曜日)

栗本薫(中島梓)死去

SF , 思考 12:31:06 天気:こんな五月の晴れ空に
 かなり危ない状況だったらしい、栗本薫女史が遂に逝去された。まだ56歳。当初100巻で完結予定だったグインサーガはとっくに100巻をオーバーランし、アニメも始まったこの時期の逝去は残念だ。まあ、グインサーガがちゃんと完結すると思っている人間は居なかったろうけど。
 かつてFSF*1のグインサーガ部屋に降臨したのを目撃した身としては、いささか感慨深いものがある。
 僕にとって栗本薫は『ぼくらの時代』だな。ぼくらシリーズでも、薫クンが僕の属する集団である"ぼくら"の紛れも無い一員であると確信できたこの本がいい。これを高校の図書室で手に取り、夢中で呼んだ時の甘酸っぱいような記憶が蘇るのだ。
 さて、追悼にグインサーガを読み返すか、などとは書きたくなくなるような長さが難だが、故人があのやたら長くて錯綜としてスカスカな話をどう着地させるつもりだったのか、推理しながら飛ばし読みするのも悪くは無い。
 そういえばここ数日、『クリムト薫』というどこでどう使えばいいのだという微妙ギャグが頭にこびりついていたのだが、あるいは女史の逝去を予感していたのであろうか。それはないない。

2009年5月02日(土曜日)

SFセミナー2009に参加(昼の部のみ)

SF , 思考 19:52:00 天気:晴れ
 ここ10年ほど、五月連休に旅に出てなければ参加しているのが、SFセミナーだ。
 最近、SFじゃない生活を送っているので、こういう機会にでもSF分を摂取しなければ。会場で同じ人種がこれだけ生き残っているのだと確認することは、僕の精神衛生上必要な行為になっている。とはいえ、前回の参加は2005年。久しぶりの参加だった。
 SFセミナーは講演会形式の昼の部、合宿形式の夜の部とあるが、SF者とリアルな面識の少ない僕には、夜の部は旨みが無い。ので、昼の部のみ参加した。
 御茶ノ水に着いて、会場の全電通労働会館に到着したのは9:30過ぎ。ところが開場してない。というのも、僕は10:00開演と勘違いしていたのだが、実際には10:00開場だったのだ。コーヒーを求めて近所を散策するうちに、開場時間が来た。
 今日は暗い演壇上の被写体を撮るべく、D90に70-300を着けて、三脚も持参した。これでは広角をカバーできないので、Powershot Sx10も併用したのだが、実際には70mmからではあまりにも狭すぎて、Sx10の方がよほど使い勝手が良かった。
 さて、一コマ目は『21世紀のファンタジー ポスト「ハリー・ポッター」の世界』ということで、小川隆氏と三村美衣女史がハリーポッターをファンタジーとして捕らえ、その影響を論議する。という展開にはならず、ほとんどが小川氏による『ハリーポッターは出版業界になにをもたらしたか』という打ち明け話に終始した。これはこれで興味深い。
 ハリポタは作者ローリング女史の銭ゲバっぷりで知られているのだが*1、その影響で大手流通には乗らず、口コミで広まっていったのが背景にある。結果、アメリカの大手流通*2がうかうかしている間に、イギリスの業者から通販する読者が絶えず、しかもそれは巻が進むにつれて問題が深まっていった。その根本には、英米の伝統的な出版スタイルの違いがある。アメリカでは販社に事前査読用の版を送りつけ、それによって発注数を決めて手配を掛けてもらうという形式だ。だから、校了から出版まではタイムラグがあるのが普通だ*3。また最初はハードカバー、後でペーパーバックという順列もかなり厳格に守られているらしい。一方、イギリスでは旧植民地向けに早い時期にペーパーバックを用意する文化がある。かつて本は全て船便で運ばれ、また経済力の劣る旧植民地では安いものしか売れないため、早い時期にペーパーバックを用意する必要があったのだ。その結果、早い時期に安いペーパーバックを手に入れたいアメリカの読者は、アメリカの輸入書店、あるいは海外通販を扱うイギリスの書店から購入することになった。そのため、アメリカの流通は、無視できない数の読者を失ってしまったらしい。
 さらに問題を深めたのがAmazonの存在だ。Amazonは英米の読者を分け隔てなく扱ったため、もっと簡単に英国出版のペーパーバック版を、早期に手に入れることが出来るようになってしまった。こういう国境を跨った巨大流通の勃興が、伝統的な出版業界の秩序を破壊してしまったということだ。
 日本でも、やはり大手出版業界に先駆けて、弱小出版社がハリーポッターを抑えてしまった結果、流通業界との齟齬を生じることになった。出版元が買い取り制を強いたため、体力の無い中小の書店が発注数を上げられず、逆にAmazonが当日配送制を採用した結果、Amazonによる寡占が進行してしまった。もはや本は本屋で買う時代ではなくなったと、白日の下の曝されてしまったのだ。日本語版版元の態度にはイラッと来るが、しかしここも巨大出版社ではないので、一発外せば体力がもたない。結局、モノがグローバルに流れてゆく時代に、ローカルな専売業者の意味はどこにあるのか。単なる物販の端末ならコンビニだけで良いじゃないかという、物流革命の一端が現れただけなのだと思う。
 などということがグダグダ壇上で続けられているうちにタイムアウト。残りは夜の部だって。
 ここで昼食。予めコンビニで買ってあったおにぎりとパンを、近所の小公園で食べる。昼時、近くのビルから出てきたサラリーマンや、路上作業員たちがたむろしている。
 さて2コマ目。『円城塔は私たちSFファンのものではなかったのか?』ということで、奇矯な作品を書いては文藝界から面白がられている、円城塔氏の創作態度のお話だった。円城氏は『表と裏が入れ替わる話を書きたい』などと考えながら執筆するらしい。ここまでは、例えば主線と伏線が入れ替わってしまう話を書きたいなあ、などと文藝を志すものなら誰でも思い当たるだろう、ごく尋常な創作態度だと思う。だが円城氏の場合、『それをトポロジー的に解析して、かつその図形を作図して実現性を検証する』という点がおかしい。興味深いとか面白いとか言う以前におかしい。なんでやねんと突っ込みたくなる。実際、喫茶店でストーリーを現す模型を作ったりしてるそうだ。
 そもそも円城氏は物理畑出身で、そういう思考に抵抗が無い、というよりもそういう思考の方が自然なものらしい。一番の読者は御尊父だが、新作を読む度にメールや電話でお小言を頂いているらしい。
 一つ心に残った発言がある。主流文学の中に可能性世界が取り込まれるのは一般化しているが*4、それらの興隆の背景にあるのは『無かったことにしたい』という意識があるのではないか、という指摘だ。確かにその通りで、数多くある仮想戦記は、まさにその『間違わなかった歴史』を書きたい、読みたいという意識無しには成立しないジャンルだ。『五分後の世界』もそうだろう。だがそれが不健全な現象なのかどうかは、判断を保留したい。
 円城氏の特徴は、ストーリーそのものよりも、そうしたライティング技法に関わっていると感じた。そういう意味では、筒井や小松、近くは夢枕獏に引き継がれてきた、SF文壇の伝統を引き継いでいることは間違いないだろう。これもグダグダなうちに『夜の部に』となった。
 3コマ目は『若手SF評論家パネル』ということで、最近早川が力を入れているらしい若手評論家発掘イベントによる発掘物を陳列するという趣旨。壇上に7名も居て、司会の森下氏が仕切りモードで進めたため、ややお行儀良すぎる演目となった。自分が評論するのは、自分が面白いと思った作品を紹介したいから、という極めて健全な意識をうかがわせる発言が心に残った。
 最後のコマは『天を衝け! 嵐を呼ぶ 中島かずきインタビュー』ということで、グレンラガンへの参加でアニメファンの注目を浴びている中島かずき氏へのインタビュー、という名目で繰り広げられる四方山話。中島氏はグレンラガンではむしろ抑え役に回っているようだ。出版社に籍を置くサラリーマンだが、最近名が売れたおかげで裏稼業だった脚本、演出の仕事が会社でも認知され、堂々と振舞えるようになったのがうれしいという。そもそもがゼネプロ~ガイナックス系の人材とずっとニアミスし続けてきたとのこと。
 今年もSF分をたっぷり吸収して帰宅。
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2009年4月06日(月曜日)

飛翔体騒動

思考 14:39:23 天気:晴れ
 あほらしい。
 そもそも、北朝鮮が日本に"飛翔体"を落とすわけが無い。逆に落としてならない理由ならいくらでもある。そういう意味で、変な話ではあるが、今回の騒ぎから一番安全で居られた国は、日本だったはずだ。実際のところ、北朝鮮からすれば韓国や中ロに落ちてしまう方がよほどマシで、日本の領土に落ちそうになったら、即座に爆破してただろうと思う。絶対に、日本本土に落とさないこと。それが至上命令だったはずだ。だからこそ、わざわざ金正日が視察していたのかもしれないというくらいに。
 万が一日本の国土に落ちたとすれば、北朝鮮は日本からの地下送金を完全に止められてしまうだろうし、日本経済が不安定になれば相互依存が進んでいる中ロにも大きく響く。そんなことは、まず中ロが許さない。アメリカ相手なら海の向こうと笑っていられるが*1、陸続きの中ロ相手では洒落にならない。特に中国を怒らせると、金王朝そのものの息の根を止められかねない。今、北朝鮮を実質的に併合してしまっても、『まあ仕方ないか』と思わせられる国は、大韓民国じゃなくて中華人民共和国しかないよな。それくらいに中国の影響力、言い換えれば北朝鮮から見た脅威は大きいのだ。その中国にとっては、今は経済第一で、日本経済をふらつかせるような事態は絶対に避けたいものなのだ。少なくとも、自分でコントロールできない事態など願い下げだろう。そんなわけで、北朝鮮が日本を『本当に』攻撃することなんて出来っこないのだ。
 また、万が一の事故で日本に落としたとする。あるいは日本近海に落としてしまい、回収されてしまったとする。そうするとこのロケットの能力なんて、同じくロケット開発能力を持つ日本からすれば一発で判明してしまう。そうなると、核搭載能力の有無も自動的に分かってしまう。これは、北朝鮮が握っておきたい核攻撃カードの性質からして、非常にまずいことになる。脅威の詳細が判明すれば、現実的な脅威として対処可能になる。その実在が疑いようの無いものならば、欧米のみならず、中ロの態度も硬化する。『なんだか分からないが恐ろしいもの』の範疇にとどめておかねば旨みの無い北朝鮮は、日本にロケットの情報が渡る事態を避けたいだろう。
 こう考えてゆくと、そもそもが日本に北朝鮮のロケットが落ちる可能性なんて無かったのだ。
 だいたい、ICBMと宇宙開発用のロケットなんて同一のものといっても差し支えないのだから*2、飛んだものを見て『ああ、これは宇宙開発用でした』なんて区別するのは意味が無いことだ。北朝鮮という日韓欧米*3から信頼されていない『ならず者国家』が、容易に核攻撃用に転用できる技術を持っていること自体が脅威なのだ。北朝鮮に対しては脱ならず者国家を要求するか、ロケット技術を放棄させるか、二つに一つしかないのだ。

2009年4月01日(水曜日)

エイプリルフール延期のお知らせ

思考 00:00:00 技:コブラツイスト
 日頃は当ブログを斜め上視点から御指導賜りまして、誠に感謝に堪えません。
 さて、当ブログでは本日4/1を期して虚偽記事を掲載し、社会にささやかな混乱と破壊をもたらすべく悪意をもって作成を進めてまいりました。しかし著者の知力減退*1と世界的不況の影響により、本記事が閲覧に堪える品質ではないと判断せざるを得ず、もって本日の公開を延期とさせていただきます。公開日は改めて4/31とさせていただきます。お客様には多大なご迷惑をお掛けいたしますこと、心よりお詫び申し上げます。
 なお一部報道で『エイプリルフール中止のお知らせ』なる虚偽情報が流通しておりますが、そのような事実はございません。
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2009年3月02日(月曜日)

藤沢周り帰宅で体に喝

暮らし , 思考 , 自転車 ( 自転車散歩 ) 20:05:00 天気快晴
 近頃どうにもだらしねえので、藤沢周りで帰宅。いつも通りといえばそうだ。
 南下中は追い風で快適、北上中は向かい風で辛いというのも、ここのところのお決まりだ。
 しかし、真っ暗で寒い道を、ただ一人走るのは楽しいんだぜ。何も考えなくていいし、何も考えなくなる。これもまた禅である。
 とかいいながら、寒風に顔をガビガビにしながら帰宅。

2009年3月01日(日曜日)

どうも寒い日が続く

暮らし , 思考 23:55:00 天気:寒い雨
 去年もそうだった気がするのだが、そろそろ春の気配を感じていいこの時分が、一番寒くなるとはどういうことだろう。寒すぎて、しかも雨まで降っているので、今日も引きこもり。引きこもりを続けていると、自分がどんどん不健康になって行くのが分かる。何かが溜まってくるのよね。
 非常に迷惑を掛けてしまった一件で、いろいろ反省する。世の中、重さが30kgを越える易損品を運ぶのは、簡単では無いのだな。相手方に梱包の手間を取らせるのも申し訳ないので、一番楽な手を探している。
 なにか後ろ向きな気持ちになってしまっているので、ちょっと過去の旅行を振り返ったり、手っ取り早く物欲を以って足を進ませようと、通販サイトを巡ってみたりもする。引きこもると精神衛生上もよくないな。明日は藤沢周りで帰ろう。
 気が付いたら3月になっている。春になるまでの時間は早く感じるものだ。
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